2016年12月26日月曜日

番手によって球の位置をなぜ変える?


Question

クラブによって、球の位置が違うのはなぜでしょうか?
ウェッジは真ん中なのに、ドライバーは左に置けといわれます。

全部同じ位置ならシンプルですよね。
それぞれに違う場所の練習をするのは、それだけ時間も掛かり
違う事をするより、同じで打った方が簡単なのではありませんか?


Answer

クラブは番手によって長さが違います。
これは短距離を打つには短い方が有利で、
長距離には長い方が有利だからです。

ところが、番手の長さによってヘッドの戻る時間が違います。
手とヘッドが同時にインパクトに戻るには、長い番手ほど時間が掛かるので
トップの位置の深さを変えて調整するのと、さらに球の位置を左に移動して、
ヘッドの軌道を長くして勢いをつけて調整するのです。

クラブは長い番手ほど総重量は軽いので、その分ヘッドが早く戻って来ますが
それでだけでは不十分なのです。
全ての番手を同じ力と同じ速度で振った場合、手とヘッドがインパクトで
一致するようにしたいのですが、クラブの設計だけでは完全ではありません。


これに対し、スイングは長い番手ほど前傾角度が立って、体が回りやすく
自然にトップは深くなる傾向にあります。
そしてスタンス幅が広いほど体重移動の重力を使えることになります。
したがってDRはスタンス幅は広くし、PWはわざとスタンス幅を狭くして、
力が入り過ぎないようにしているのです。

これはできるだけ広い幅の距離をカバーしたいがために理由があって
このような設計をしているのです。

そして、スイングは体を弓にして打ちます。
バンプのタメを使ってエネルギーを一気に解放することでパワーを出すのです。
この弓はスタンス幅が広いほど、また前傾角度が立っているほど作り易く、
体重移動が大きくなるために軌道の円弧が自然に
左(目標方向)に移動してしまうのです。

これは道具と打法がピタリと合た奇跡です。
というか、人間の知恵とは実に素晴らしい物だと言わざるを得ません。
現在のクラブセッティングは250年とも600年とも言えるゴルフ史上の集大成です。
そして、打法とクラブは一体だという事を忘れてはならないのです。

ところが、40年前ほどから現在に至るまで、この原理を
崩すようなクラブメーカーの動きがあったのです。
それはドライバーだけシャフトを長くしたことです。

クラブの長さはPWからDRまで一直線で各番手ごとに
ハーフインチずつ長くなっていたのですが、それを崩して
長いほど飛ぶというキャッチで、この原理を壊して長くし始めました。

すると、今までのスタンス幅やトップの位置、そして
円弧の位置までが狂ってしまうのです。

ところが人間には柔軟性があり、この違いを克服し
長過ぎても打てるようになってしまったのです。
(中にはこれでプロから転落した人達も大勢いますが・・)

42インチで設計されていたDRは現在3インチも長く
これが標準だと主張するようになったことで
このクラブセッティングの原理を崩してしまったのですが
それを調整するために、体重を左に移動せずに
右に体重が乗ったままその場で回転して合わせる打法が
目立つようになりました。

また、DRでのバックスピンを減らすために
リバースピボットにして打ってアッパーにしている選手がいるのです。
これではせっかくの体重が球に乗せられず、軸を動かして反り返り、
手が先行しないように打つために、重力がフルに使えなくなっているのです。

右軸で体重を左に移動させず、筋力だけで回転しアッパーに打つ打法は
非常に効率が悪く怪我や故障をしやすいのです。
スエーしない程度に左に突っ込み、第七頚椎がリバースにならないように
しっかりと体重を乗せ、しかも最下点後にインパクトにするには
単純に球を左に移動すれば良いのです。

長い番手ほど球は左に置いて打つのが原理ですので、
DRのシャフトを長くした分、セッティングを合わせれば、
同じように打てる事になりますので、長い分クラブは軽く作ってありますが
トップの深さや球の位置などで調整し、できるだけスイングは変えたくないのです。

球の位置は変えず、トップの深さも変えずに打法を崩して合わせるのではなく
あくまでもセットアップで調整することがより合理的です。

インパクトは左ほどHSが上がっており、体重が乗せられ、しかも
アッパーで打てるために欧米の飛ばし屋と言われるトップ選手達は
ほとんどが左の足カカト前よりも左に球を置き、中には
完全に体の外に出して打っている選手もいます。

無理にリバースで打つと、アイアンを持った時にダウンブローにならなかったり
すくい打ちや祓い打ちになったりしやすいため、
ある程度は突っ込んで、しっかりと右手で押し込みと被せ押さえ込みをして
ダウンブロー度を上げ、球を完全につぶすようにすると効率よく
最小限の力で最大限の飛距離を出すことが可能になるのです。

したがって、球の位置を番手が長いほど左に置くのは
自然に最下点が左に変わるのと一致しているので、全ての番手で
同じ力で同じ速度で、同じように打っても真っ直ぐに飛ぶようになった設計
通りに打つ方が、よりシンプルだと言えるでしょう。



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